ISHII SATOSHI -Kawa no Maker- >> Fly Fishing >> column:旨さを引き出す塩漬け
高校生の時、シイラを狙うボートに乗り、全長1メートルのシイラをお土産に持って帰ってきた。フライやムニエルで食べたけど、家族みんなで食べても十分すぎる量だった。帰宅から2,3日経ち、冷蔵庫とクーラーボックスで保存していたが、食べきれなくて困ることになった。
長期保存が冷凍しか分からず、家の人にも言われ、保存しきれない分は心苦しくも処分した。
ボートで狙うシイラは非日常的な大物だった。といっても、前日に寝付けなかった私は、終始デッキにへばりつくので精一杯だった。一緒に行ったフライショップの人の機転でお土産になった初のシイラの味は、とても美味しかった。
多くの魚を手に入れる機会は度々あったので、保存方法を調べた。今では、すぐ食べる分は軽く下味をつけ、残りは強めの塩で保存している。ラップを掛けずに冷蔵庫で乾かせば、燻製での燻す前の状態に近い。熟成して旨みも増し、水っぽさもなくなって食感が良くなる。
冷凍保存も良いけど、ボソボソした食感になることがあるのと、冷凍庫のスペース、解凍の手間がある。いくつかの点では塩漬けの方が有利だと思う。
塩漬けは単品のメインディッシュにはならない。でも、塩漬マグロの中落ちを炒めて入れたカレーは、牛肉のに劣らない。パスタや炒め物にも塩漬けは使えるし、アンチョビや、魚醤にもなる。
塩漬けにするには、重量で3%から20%くらいの塩を擦り込む。濃度は気温や保存する期間、食べ方に依り、後日の塩抜きをするかどうかにも依る。味噌や醤油を加えることもある。漬け始めは冷蔵庫が良いが、塩分が高ければ冷暗所で良いようだ。繰り返し作ってきたので、作りやすくて食べやすい勘所が見つかり、楽しい。塩漬けは世界中にあり、参考になる。漬物は野菜のでも納豆でもそうだけど、独特のにおいはあるため、少量から試す方が良い。
塩漬けの失敗もある。凍らせたペットボトルを毎日入れ替えて使っていた発砲スチロールの即席冷蔵庫は、ポリスチレンの臭いが移るので、2週間以上は難しそうだった。他に衛生面で失敗すれば体に悪い影響もあるので、自己責任でやりたい。心配なら少量を食べて様子を見る必要もある。燻製は、大量に食べるとアルデヒドのせいか気持ち悪くなった。
塩漬けに慣れ、捌いで塩を入れるくらいの手間だから、簡単にひと冬分の魚を仕込める。上手に漬けて熟成させたものは旨い。市販品には、アミノ酸等で味を付けたおいしくないものもあるし、一見塩っ辛い新巻鮭の美味しい食べ方があるのも分かるようになった。
写真は管理釣り場で釣った魚の塩漬け。飛びまわるような元気で質の良い魚で、ドライフライで狙ったもの。
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