ISHII SATOSHI -Kawa no Maker- >> Fly Fishing >> column:その魚の価値は人によって違う
上手い下手に関係なく、誰もが魚釣りを楽しめる。
誰かが釣った魚を見て、すごいと思ったり、大したことないと思ったりする。けれど、その魚を釣った本人からしたら、他人がどう思うかなんて重要じゃない。重要なのは、釣った本人が楽しんだかどうかだ。
渓流釣りを始めたてのころ、上手な人と一緒に釣りをした。その人は、私にとってはうらやましい魚を釣っても嬉しそうなふうでもなく、さっさと放していた。もっと上を目指していたその人にとっては、大したことない魚だった。その隣で、今度は私が魚を釣った。私にとっては嬉しい魚だったけど、上手な人にとっては大したことない魚なのかなとも思ってしまった。
高校の夏休みに、長距離バスに乗り、本栖湖と河口湖で魚を狙った。本栖湖では全く釣れず、河口湖のブラックバスが私のフライの相手をしてくれた。景色の良い河口湖で、フライにアタックしてくれるのがとても楽しかった。後日、その話をフライショップの店員にしたが、ブラックバスなんて釣って喜んでるのと笑われて、嫌な気分になった。
私のフライフィッシングのキャリアが長くなり、キャリアの浅い人と関わることも増えた。その人が釣った魚がどうであれ、楽しんでくれていたら嬉しい。ある一匹が、釣った本人にとって価値があるなら、周りがどう思うかは重要じゃない。
他人と比べてやる気をなくしてしまう人もいるので書きたかった。よく魚の写真には、大きさや魚種、ヒレがどうかといった言葉でその価値を形容する。でも、釣った魚の価値を決めるのは、釣った本人が楽しんだかどうかだ。
最近、「手長エビを釣ってきたんですよ」と、時折会う人に言われた。私が魚釣りを楽しんでいるのを知っていて、手軽にできる手長エビを楽しもうとなったようだ。「近所なんですけど、行ったことあります?」「今、家で飼ってみてるんですよ」と、楽しんでいる様子を見て、釣りって楽しいよねと嬉しくなった。
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